牟尼溝

牟尼溝は四川省アバ•チベット族の居住地である松潘県の南西に位置し、黄龍区域の新たな観光地として近年開発が進んでいる観光スポットです。標高2800m~4070m間の山岳地帯に分布しており、その敷地面積は約160?、年間平均気温が7度と一年中寒い地帯となっています。この地は九寨溝と黄龍両方の美を兼ね備えているといわれ、より原始的な要素が多く残され、その静謐さはまさに「深山幽谷」と言うことができます。また牟尼溝は冬に入っても氷が張ることがないので冬の観光でも通行止めになることがありません。牟尼溝内は重厚な植物群に覆われた山々、神秘的な原生林、美しい洞窟、彩りの色彩に輝く池が広がり、それらが一体となり美しい景観を織り成しています。様々な「海子(沼や湖など)」の美しさは九寨溝にも劣ることがなく、石灰岩化された大小様々な滝の魅力が黄龍にも優ると言われています。また、牟尼溝の観光スポットの中で最も注目すべきは高さ93.2m、幅35mのサガ(扎嘎)大瀑布で、中国で今まで発見された石灰岩化した滝としては最も大きいものだとされており、「中国一のカルシウム瀑布」と言われています。この滝は104mの高台から勢いよく水しぶきを飛ばしながら、凄い音を立てて流れ落ちてきます。二段目に落ちる場所には「水廉洞」と呼ばれる空間があり、その神秘的なムードに人々の人気を集めています。

牟尼溝はこのほかにも「濺玉台」、「二道海」、「真珠湖」、「犀牛海」などがあり、それぞれ人気の観光スポットとされています。

「濺玉台」は白い玉石で造ったような台地であり、石灰岩質の岩肌が長年の水によって浸食されて出来たものです。上から流れ落ち滝の水はこの台地に当たり、その時に跳ね返り飛び散るしぶきの壮観さからこの名が付けられました。また険しい桟道を少し歩くと「濺玉台」を見下ろすことのできる展望台があります。
「二道海」は牟尼溝の観光区域の北部にあり、二つの美しい「海子」(沼)からなっております。特に面積1.33㎡のスワンレイク(天鵝湖)は青く澄みわたり、その水面を鴨や白鳥が優雅に泳いでいる様子からこの名が付けられました。また、このスワンレイクに隣接する面積1.68㎡の百花海には心が吸い込まれるようなエメラルドグリーン色の水を広がっています。この地はすべてが自然そのままの景色であり、その神秘的な世界で人々を魅了しています。

「真珠湖」は伝説によると仙女たちが真珠を煮るところだといわれており、寒さが厳しい冬でも水温が約25度で保たれています。また湖水には硫黄の成分が含まれているので皮膚病などの治療にも効果的だとされています。
「犀牛海」は連なった大小36の湖からなっており、最も深いところで18.5mあり、いずれも水が見事に透き通っており、湖底の美しい世界をのぞくことができます。

牟尼溝は大自然の美しい景色に恵まれているだけでなく、歴史的な宗教文化も話題を呼んでいます。それは仏教がチベット地区に伝来した時、地元のボン教と融合しラマ教へと変化したことに関係しています。その主な寺院としては肖包寺と牟尼後寺があります。1549年から建造された肖包寺は敷地面積が6000㎡あり、境内には天然の仏陀の顔をした石があることから由緒のある寺院として伝えられています。1663年に完成した肖包寺には伝来してきた数々の仏教文物が展示されています。

また毎年旧暦1月15日と7月15日には仏教イベントが行われ、多くの参拝客を引き付けています。このほかにも旧暦5月15日には地元チベット族の方々が民族の綺麗な服装を身に纏い、「卓錦節」を盛大に祝います。この日になると野外の高原に集まったチベット族の人々がそれぞれ持参した自慢の料理を食べ、盛大に歌ったり踊ったりしながら、さらにヤクや馬などの競争など見て楽しく過ごすという、とても賑わいをみせるイベントとなっています。