春めいた桂林

2014年02月18日桂林の生活

中国の南方では春になった後にも寒波が襲来して、急に寒くなることがよくあります。それは「到春寒」と言います。「倒春寒」は非常に厳しいものです。田舎では油断して、薄着のままで山間部へ仕事に行って、凍死されてしまったこともあります。この間、桂林では一週間ほど凍てつく「倒春寒」が続きました。 週末にはようやく気温が上がったと思うと、またしとしと「毛毛雨」(霧雨)が降りだしました。219日は中国の二十四の節気の「雨水」になります。「雨水」になって、大地が春雨で潤って草木が蘇って、どんどんと芽生えています。それについて唐代の詩人杜甫が「好雨時節を知り春に当って乃ち発生す風に随って潜かに夜に入り物を潤して細かにして声無し」(春夜にを喜ぶ)という素晴らしい詩を書きました。
 私は霧雨の天気には傘を差さずに霧雨の中を散策をすることが楽しみです。午後、食事の後、私は一人で七星公園へ行きました。公園の中には観光客が少なく、とても静かでした。潤った空気を吸いながら、心身で万物が生長する春の匂いを感受して、とてもいい気持ちでした。春には「駱駝山」と「花橋」の桃の花は七星公園の一番いい見どころです。
 公園の東門に入って、右へ曲がって、百メートルぐらい歩くとすぐ座ったひとこぶの駱駝にそっくり山が見えてきました。それは中国でも有名な山-「駱駝山」です。また、酒を入れる銚子のようにも見えるので、昔の人がそれを「酒壷山」と言いました。明の末、江南書生雷鳴春(酒が好きなので、「雷酒人)とあだなが付けられた)が清の民になりたくないので繁華な江南を去って、辺鄙な桂林に来ました。彼は駱駝山の麓に住んできて、毎日酒を飲んだり、詩を詠んだりして隠居の生活を過ごしていました。その間、彼は駱駝山の麓に桃の木をたくさん植えました。春になると、桃の花が満開すると駱駝山が一面の霞に覆われて、非常に綺麗だから、「壷山赤霞」と称され、桂林の八景の一つに選ばれました。雷酒人がとうとう泥酔して死んでしまいました。亡くなった後も桃の花が見えるように彼の墓を駱駝山の麓に作られています。
  山も林も至る所は霧雨に包まれて、一幅の水墨画のように見えました。周りは静寂で、私以外誰もいませんでした。そのあたりはすべて私一人の世界になりました。季節がまだ少し早いので、桃の花がまだ膨らんだ状態でした。露のかかった蕾が余計に艶やかに見えました。いつか、ピンク色の相合傘を差して散策するカップルみたいな二人の若者が来ました。駱駝山は霧雨の中を散歩するあの二人のカップルによって、ロマンチックな雰囲気を漂っていました。
 駱駝山を見物した後、花橋に移動しました。公園の中の金木犀、楓などの木が黄色い新芽を出しました。紫色の辛夷の花も例年より早く咲きました。月牙楼を通って間もなく、赤い提灯で飾られた屋根付きの石造りの橋が見えてきました。それは「花橋」と言います。
 宋代の嘉熙年間(1237年~1240年)に建てられ、桂林では一番古い橋です。歴史上、花橋は度重なる洪水に遭って、幾度も改修された後、現在の様子になりました。花橋は長135メートル、幅7メートルぐらいあり、雨よけの回廊がついて、中国の特色のある太鼓橋です。春と夏には橋の袂にいろいろな花が咲くので、花橋と名付けられたわけです。
花橋は小東江と霊剣渓の合流する所を掛けられていています。橋の右側にある古川は霊剣渓と言い、水の流れは緩やかで、静かな水面に岸に植えられた竹のしなやかで美しい姿が映っていて、水墨画のように見えました。左側の小東江は幅がわりあい広くて、水の流れは少し急でした。数匹の家鴨がゆったりして泳いで、水面で羽をぱたぱたさせて、喜んだ鳴き声を出して、まるで「春が来たぞ」と告げているようでした。川の畔に桃の花がピンク色の花が咲き始まりました。その景色を見て、思わず、「竹外桃花三両枝、春江水暖鴨先知、縷蒿満地蘆芽短、正是河豚欲上時。」(竹外の桃花 三両枝、春江 水暖かにして鴨先ず知る、縷蒿は地に満ち 蘆芽は短し、正に是れ 河豚の上らんと欲するの時。)という宋代の詩人蘇軾の詩を思い出しました。地面に蓬が露に濡れて、青々しく見えました。おととし友達と花橋へよもぎを採りに来たことあがあります。周りの景色は当時とはほとんど変わりませんが、ただ、今はひりぼっちで、「年年歳歳花相似たり歳歳年年人同じからず」と感慨が深かったです。


駱駝山の麓にある桃で、まだ満開していませんでした。




金木犀は新芽が出ました。



四季木犀は黄色い花が咲きながらも同じ色の若葉も伸びていました。

小川の水も蘇っテ、喜んで子踊りしていたようです。

紫色の辛夷の花も待っていられないように早く咲きました。



霊剣渓の倒影でした。

春江 水暖かにして鴨先ず知る

竹外の桃花が 三両枝咲いていました。花橋の向こうは霊剣渓で、手前は小東江です。


 

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コメント(4)

作者:( 「ふれあい中国」)

お客様からのコメント

1永ちゃん2014/03/08 10:26返信

私も最近訾洲公園の並木で珪花が咲いているのを見ました。大変珍しいですね。

  • 2014/03/13 18:20

    永ちゃん、こんにちは。返信が遅くなって、失礼しました。桂林の生活にはちょっと慣れてきましたか。永ちゃんが近訾洲公園で見た桂花は桂林で「四季桂」といいます。年中咲いているので、名づけられたわけです。香りが少し薄いです。できれば、桂林でいろんなところへ遊びに行って、ご体験ください。

2toubunnri2014/02/23 08:47返信

私は陸先生が桂林の自然の移り変わりに対する観察が細かくて感心しました。そして自分の季節に対する感受性や気持ちを綿密に書いてくれました。本当に情趣に満ちた素晴らしい文章を読ませていただきました。

  • riku2014/02/25 14:04

    toubunnri さん、コメントありがとうございます。私は自然と桂林山水を愛するものです。普段は桂林の公園と周りの郊外をよく回って、自然の変化を体験することが楽しみです。そのおかげで、体が健康になるしいろんな人に付き合い、友達ができました。

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