駱駝山

2016年09月20日中国観光ガイド

   夕食後、近くの駱駝山へ散策しました。桂林の駱駝山は七星公園にあります。坐った巨大なふた瘤駱駝にそっくりなので名付けられたのです。春になると山の麓の桃の木が一面に花が咲いて、素晴らしい景色が見えます。あの景色を昔の人が「壺山赤霞」と称えました。高さ30mの小山に「壺山」と「雷酒人之墓」と二箇所の石刻があります。

   雷酒人は本名雷鳴春と言い、明の末の有名な儒生です。明は清に滅ぼされた後、清の官吏になりたくないので、江南から桂林に流亡し、駱駝山の麓に庵を結んで、隠居の生活をしました。毎日酒を飲んだり、桃の木を栽培したりする桃源郷のような生活も楽しかったですが、郷愁と故国(明)への懐かしみがいつも雷酒人に伴っていました。憂鬱と寂しさを解消する時、酒を飲んで、壺山に登って、遠方に向かって大声で叫びました。ノスタルジアに更けて、雷酒人はとうとう寂しさの中で他郷の桂林に酔死しました。

   麓に蓮池が一つあります。浅い池水に浮き草が浮いていました。秋風が吹き渡ると襤褸の枯蓮が揺れ動いて、もの寂しい景色でした。蓮の清らかな香りが漂っていて、思わずはるかな子供の時代を懐かしく思いました。

   子供の時、家のすぐ後ろに大きい蓮池がありました。水は水底にいる魚がはっきり見えるほどきれいで、周りに住んでいる人たちの飲み水でした。夏の時、池に白とピンクの蓮の花がいっぱい咲き、蓮の香りが漲っていました。裸の子供が水中に飛び込んで、しぶきが上がり、近くで洗濯していた女の人にさんざんに叱られました。中学校の時、池で洗濯したり、豚の餌の浮き草を取ったりしました。残念ながら、今の池はほとんど埋めたてられて、池水が臭くて、飲むどころか、洗濯も水泳もできなくなりました。

   古里に帰れない雷酒人と違って、私が古里に帰ってもあの美しい故郷にはとこしえ戻れません。

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作者:(陸耀雲 「ふれあい中国」)

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