稲城亜丁

四川省甘孜チベット族自治州南部、横断山脈の中段、青蔵高原の東に位置し、「最後のシャングリラ」「地球で最後の極楽浄土」と讃えられ、中国国内の自然保護区に指定されています。亜丁はチベットの言葉で「太陽に向かう処」すなわち聖地とされ、海抜2990m(貢嘎河口)から6032m(仙乃日峰)に面積1334?の広大な景観が広がっています。また中国で最も無開発な高山自然生態システムが残っており、シャングリラ地区の景勝地の代表として世界で最も美しい高山峡谷景観と称賛されています。そして亜丁景勝地には高山動物と森林動物を中心として野生の動物が200種以上生息しており、南方系種としてレッサーパンダやジャコウジカ、赤鹿、ターキンなど、北方系種としてオオカミやオオヤマネコ、青羊などがいます。

 亜丁の観光シーズンは4月から10月までで、春(4月~5月)は至る所みな美しい花が咲き乱れ、青空には白い雲がかかり、テントが張られた土地でヤクや馬、羊がのどかに生活しています。夏(6月~8月)は草原が若草の緑に染まり、それを潤すように雨が多くなります。ただ雨基本的に夜に降り、夜明けになると止むことが多いので、雨具は傘よりカッパのほうがお勧めで馬に乗る際にも使用できます。秋(8月~10月)は亜丁の最も詩趣に富んだ季節で、赤色の芝生と金色の楊柳の林が色彩の海となって広がり、青空と相対し色とりどりの世界を創り出します。また、この時期の神山はより幻想的になり、どの角度から眺めても絶景を見ることができます。そして、晴れる日が多いので景色の撮影には最適ですが、昼夜で20℃から5℃と気温差が大変激しいので防寒対策をしっかり行う必要があります。

では、亜丁の観光ポイントをご紹介します。

「海子山」
氷河が積み重なった地形に属し、1145もの氷に浸食された岩盆(湖)と億を超える氷川に漂う花崗岩から構成される景観で、青蔵高原で最も大きな古代氷体の遺跡となっています。稲城の北部と理塘の間の海抜4300~4700mに位置し、総面積3287?という規模?密度は中国でも最大だといわれています。

「三神山」
またの名を「貢嘎山即ち三怙主(仏教の言葉)雪山」とも言われ、一年中融けない雪が降り積もった三つの仏教聖地を意味しています。中国で十大美山の一つに数えられ、亜丁に住むチベット族の人々を守護する神山ともいわれています。山の三つの峰にはそれぞれに名があり、標高6032mの北峰「仙乃日」は四川第5の峰として堂々と聳え立っています。その周囲は氷蝕峰林地形で氷河や氷河遺跡、高山湖などがあり、まるで蓮の花に立つ観音菩薩に見えることから観音菩薩を意味する「仙乃日」の名で呼ばれています。峰は北に10°ほど傾いており、西に吉祥の星?北闘星と対しています。また標高5985mの南峰「央邁勇」は文殊菩薩(知恵の神様)を、標高5978mの東峰「夏諾多吉」は金剛手菩薩(暴虐を取り除き善良の民を安んずる神様)の意味し、チベットの人々の言い伝えでは神山を三回参詣すると一生の願いが叶うといわれています

「真珠海」
北峰「仙乃日」の雪解けによってできた約10万㎡の湖で、青々とした水が波打ち周囲には草木が生い茂っています。春にはつつじの花が鮮やかに咲き乱れ、秋には草木が赤く染められ、その様子が湖面に映り込み四季の景色が人々を魅了します。
「聖水門」
氷河遺跡に位置し、先の絶壁に門の形があることから名づけられ、「天然盆栽」と称されています。伝説によると、その門はシャンバラ王国(シャングリラ)へ向かう門とされ、チベット歴4月15日には門から乳白色の聖水が吹き出します。

「洛絨牛場峰林」
絡絨牛場は三大神山に囲まれた亜丁一の高山牧場を備えた宿泊地です。貢嘎河が牧場を横切り、谷川と牧場の木造小屋がおだやかな雰囲気を演出します。標高4000mを超える高山地帯に放牧された牛や羊、そしてそこで生活する人々の姿には大自然と融合した素朴さが溢れています。五月ごろになると草木がが茂り、大草原が広がる牧場風景の美しさを楽しむことができます。

「桑堆小鎮」
稲城県金珠鎮と約28㎞ており、自動車道路沿いに牧場や川があり、起伏した山地には村落に住む人々や放牧された動物の穏やかな生活を垣間見ることができます。十月になると赤く染められた芝生が一面に広がります。

「茹布查卡温泉」
稲城県から3㎞ほど離れた貢巴山の北麓にあります。「茹布」は友達、「查卡」は温泉を意味しています。最高水温は約80℃で、1日の流量は7000?に達します。温泉の湯は澄みきっており、硫黄含有量がゼロなので飲むことも可能で内分泌効果の調節や皮膚病の治療に役立ちます。

「色拉村の朝霧と傍河田園風景」
色拉村はチベット族が居住している村落で、傍河は桑堆鎮稲城河の周辺に位置しツゲ林と赤芝生の美しい風景が広がっています。また朝と夕方に陽の光が斜めに差し込んだ時の朝霧や炊事の煙が照らされるとこの土地に広がる深い趣を感じることができます。

「贡嘎郎吉岭寺」
稲城県で最も大きい黄教のお寺です。明の時代初期に建立され、その姿は雄大で寺内には美しい壁画が描かれています。また、五代目ダライラマから頂いた弥勒銅像が安置されています。