バリコン(巴里坤)草原
バリコン(巴里坤)草原は新疆の北東部、東天山山脈に抱かれた標高1650mの高山地にあり、バインブロク大草原に次ぎ、新疆で第二の大きさを誇ります。伝説によると西王母は天上の刺繍絵を天馬牧場に変えたとされ、この天馬牧場がバリコン草原にあたり、現在でも「天馬の郷」と褒め称えられています。
バリコン草原は盆地の中にあり、四方を東天山の峰々に囲まれ、その中でも南山は特に高く頂上は万年雪で覆われています。また、山の中腹には森林地帯が続き、その間に緑豊かな牧草が生い茂り、昔からカザフ族の放牧地となっています。唐詩『勅勒川』の中の一句である「天蒼蒼、野茫茫風吹草低見牛羊」は名句としても広く知られますが、詩の中で詠まれた場所はここだと言われています。天は青々として、草原が果てしなく続き、風が吹いて草がそよぎ 遠目には牛や羊が見える、まさにバリコン草原の情景を表しています。
東天山の雪解け水の一部は谷を下って麓にある麦畑を潤し、残りは伏流水となり草原中心の低地から地表に流れだし、最後にバリコン湖に流れ込みます。湖の周りは水草が生い茂る湿原帯で、現地の人はバリコン湖を「草湖」と呼んでいます。草と水が豊富で放牧に適した場所として、夏になると湖畔にカザフ族のテントが立ち並び、夏は避暑地、冬はスキーエリアとして、美しい大自然を求めて多くの人々が訪れています。
バリコン草原の四季
四季で装いが変わるバリコン草原は、10月下旬から4月下旬までは雪に覆われ、大雪が降ると一面は銀色世界になり、雪化粧をした松林が霧に煙り、その美しさは「天山松雪」と称され、バリコン草原の絶景と称されます。5月上旬には残雪の間から草の新芽が顔をのぞき、あっという間に緑の絨毯に変わります。6、7月になると草原のいたる所で色とりどりの花が咲き乱れ、遊牧民のテントの横では白い牛や羊の群れがのどかに草を食べています。この草原景観が人々の旅の疲れを癒してくれます。
草原の盛会
バリコン草原では盛夏になるとカザフ伝統の祭りが開催され、派手な民族衣装を着用したカザフ族、モンゴル族、ウィグル族の人々が集まり、草原は活気であふれ人であふれかえります。祭には叼羊、競馬、姑娘追いなどの伝統競技が行われ、陽気で華やかなカザフ舞踊も披露されます。また、遊牧民の馬を借りて草原の散策が楽しんだり、テントに入ってカザフ族の生活を見学することもでき、カザフ族の人々は酥油茶と馬乳酒でもてなしてくれます。