ハミ魔鬼城

ハミ(哈密)市から南西に約100㎞離れた五堡郷という土地に東西50㎞、南北40㎞のヤルダン(雅丹)群があり、2010年には「哈密雅丹地貌公園」の名で国家4A景区に認定されました。ヤルダンとは風によって長い間削られた岩や土の風食地形で、ヤルダンの間は風の通路となり夜になると温度差によって風が強く通りぬけ、悪魔が叫び声のような音を立てることから「魔鬼城」と呼ばれています。
約1億4000万年前のジュラ紀、この地には大きな湖があり、それを囲む豊かな森林が広がり恐竜などの古代生物が生息していました。そして、約4500万年前までハミ周辺はまだ巨大な湖盆でしたが地殻変動によってヒマラヤ山脈が形成され、その後は湖の水が干上がり、激しい北東風が長い年月をかけて岩石を削り、現在ある城堡や人、動物等様々な造型のヤルダンを作り上げました。
ハミ魔鬼城は総面積1500?、その規模の大きさとヤルダン岩の種類の多さ、そしてその美しさから「中国ヤルダン地形の冠」と称され、他の「魔鬼城」にはないシルクロードの古城遺跡と古代生物の化石を見学することができます。園内は艾斯開霞爾古城を中心に東城、南城、西城、北城の四大景区に分かれていて、ヤルダン岩の形をした入口を入ると一本道が果てしなく続き、道路の両側には様々な色や形の岩が立ち並んでいます。敷地が広大なため園内をマイクロバスが走っており、バスに乗って各ポイントを回ることができます。

主な観光ポイント
東城:古城堡、神女峰、千仏山、方塔山、彩石灘など
南城:狮身人面像(スフィンクス)、金陵石虎、原始胡楊林など
西城:天門洞、比翼双飛、双塔峰、石菇滩、風神、布達拉宫(ポタラ宮)など
北城:瀚海神亀、双頭馬、艾斯開霞爾古城、紅柳灘など

艾斯開霞爾古城
艾斯開霞爾古城はウィグル語で「ぼろぼろになった城」を意味し、公園の北エリアに位置しています。、かつてはシルクロード北道の駅として3000年以上の歴史を持つことが確認されています。古城は高さ7mのヤルダン岩に干し煉瓦を重ねて建造されたもので、現在では2階建ての民居遺跡が3軒残っているのみで、崩れかけた土壁に窓のような穴があり、数多くの陶片が散らばり、数千年前の人々の生活の形跡を感じることができます。また、古城の近くには古墳遺跡も残されており、そこで発見された一体の女性のミイラと多くの陶器は園内の歴史陳列館で展示されています。

アラビア石堆(阿拉伯石堆)
かつてのシルクロードの原始的な道標で、アラビア商人がシルクロードを通っている時、休息の度に砂漠に石を小山のように積んで標識としていたことから「アラビア石堆」と言われています。当時の雰囲気を楽しむために公園の道端と観光ポイントには数多くのアラビア石堆が並べられています。さらに、その石山の数と並べ方によって意味が異なり、例えば1つの石山は「前方は探検ルート」、2つの石山は「前方は分かれ道」などの意味を示しています。公園入り口にある案内板には公園の簡単な地図や注意事項、アラビア石堆の意味等が表示されていて、予め知っておくことで魔鬼城の旅をより一層楽しむことができます。