科尓沁一帯のモンゴル族の習俗
科尓沁一帯のモンゴル族の習俗と言ったら、以下の6つが挙げられます。
1、「白月」:モンゴル族が白色を崇めて縁起のいい色と考えています。毎年の一月を「白月」と思いすなわち春節(お正月)のことを指しています。お正月の日の朝、どの家でも早起きするようにします。早起きしてあかつきが見られることこそお正月を過ごす意味が含まれると考えられます。世帯主が家族を連れて庭の真ん中に集まり、天を祭る儀式を行います。それから家に戻り、仏陀や年長者を礼拝します。最後に朝食に入ります。朝食が大体餃子を食べます。その後世帯主が暦の指した方向に沿い、百歩余り歩いた後、吉祥を求めようと丁寧に頭を下げて礼拝を勧めます。これを「出脚印」と言います。続いて若者が家から家へと年長者への年始回りを始めます。そして年長者からも目出度い話や縁起のいい話などを受けることができます。
旧正月の15日に、各ラマ教の寺院では「チャマ」ダンスを行います。「チャマ」というのが鬼払いの意味です。この日になると人々が「チャマダンス」を見たり豚の頭を焼いたり関羽の像を祭ったりして過ごします。夜間、各家庭では仏灯や灯篭を付けて祝います。正月25日を「填倉日」と言います。この日は各家の庭で草の灰で輪を描き、中に五穀の種を埋めます。火が出てからこれらの種を種とされる食糧の中に入り交ざり、五穀豊穣を祈ります。
2、清明節:この日になると科尓沁一帯のモンゴル族の方々が一斉に墓参りに行き、お墓に土を添えます。土を必ずお墓から50、60歩離れた場所から持ってこないといけません。そしてお墓の前で先祖供養に煙草やお酒、お茶、布などを供えます。もし先祖の墓がお互いに遠く離れた場合、この日を利用し同じ場所に移転してもいいとされます。
3、端午の節句:モンゴル族の方々が旧暦の5月5日の朝、太陽がまだ出ていない内のモノを 皆「神聖な薬」とみなしています。この時井戸の上から下を見下ろして汲んだ水を地面に置かないで、そのままで顔を洗い口を漱ぐことは体にいいと考えます。また蓬で耳を塞ぎ、蓬を箪笥や窓、ドアなどに飾り付けたりして虫除けの効き目があると信じています。朝のうちに高い場所に上っていくと長生きができるとされます。もし近くに湖があれば若者が必ず中に入り泳ぐことが縁起がいいということです。湖がなければ水で体を浴びせてもいいです。この日はさらに卵を食べる習慣があります。ただし卵は前日の夜、屋外に置いたものでないといけません。 お医者さんになりたい人はこの日に師匠を拝み、将来立派な医者になれると信じています。
4、千灯節:旧暦の10月25日はシャーマン教の創始者である宗喀巴の涅槃の日とされます。この日に各寺院はラマ教のお坊さんにお経を読んでもらい、寺院に布施をします。また子孫の長生きを求めたり子供のいない夫婦が子供を授けてくれるように願ったりします。自分の子供を寺院のラマにしたい親も現れるということです。人々が蕎麦でどんぶりの形にして中に油を注いで燃やすのは宗喀巴のための「千灯」を燈すと言われます。
5、火を祭ること:モンゴル地方の伝説によると旧暦12月23日、人間界の事情を司る各地の神様が一斉に天界に戻り天帝に報告するとされます。中で火の神が人間界の善悪を司りることから、家という家では火の神を祭り、口添えをしてくれるように頼みます。このひは一般的に黄色いもち米でおかゆを作り、中にバターや棗などを入れるうえ、一筋の白い布で縛られた箸を挿します。 ことにより「火の神の口を塞ぐことができる」と考えていますからです。
6、大晦日:モンゴル族の習慣が漢民族のと同じように大晦日になると年画(年越し絵画)、春聯を張るしきたりがある一方、違う所もあります。」例えばお香を灯して仏陀に供えるほかに、モンゴル独特の料理とされる「手把肉」(手掴み肉)を食べることが濃厚な風俗として定着しています。その夜に、先祖供養や灯篭を灯すなどして一家団欒して楽しく新しい一年を迎えます。