庫布斉砂漠

   庫布斉砂漠は中国の七番目の砂漠として知られています。「庫布斉」というのはモンゴル語であり「弓に掛かっている弦」の意味です。弓なりになっている黄河の南岸に位置することことから、こう呼ばれたわけです。総面積145万ヘクタールにも及ぶ庫布斉砂漠は縦400キロ、横50キロほどにわたります。主に流動的な砂丘が61?ほど占めています。高さ10M~60Mの砂丘はさながら一匹の竜のように鄂尓多斯高原の北部に横たわっているように見えます。気候が大陸的気候に属し、夏が暑くて冬が寒いです。年平均降水量も少なくなりかなり乾燥しています。さばくの西部と北部が黄河に近いから地下水の水位が割に高くて植物の成長にも向きます。砂漠は地域により植物の分布が異なります。

 

   庫布斉砂漠はその形成された原因に三つあると言われています。一つ目は古代の黄河の水により沖積された説です。二つ目は狼山山脈から洪水に流されて堆積したものです。三つ目はもともと地元にある砂地が風化されてできた砂漠という説です。しかし庫布斉砂漠はほとんど第四期の氷河期に形成した堆積物の上に覆い隠したことから一番目の原因による可能性が高いと分析されています。いずれにしても庫布斉砂漠を形成するための物質的条件を揃えていました。学者の話によると中国の商の時代から戦国時代の終わりごろにかけてこのあたりの気候が乾燥を増し、風も強くなっったから、砂漠を形成する原動力が自然に提供されたと言います。庫布斉砂漠はおよそこの時期に形成されたものと結論づけています。この時期に属する遺物や遺跡などが殆どないという点から見れば当時の生態というのが極めて劣悪だったと推測しました。

 

   庫布斉砂漠は割に平坦な地面に恵まれたうえ、川の水に流された所も多く、農作物の栽培に相応しいとされます。50年近くの間に、すでに250キロほどの黄河の水による灌漑用に使う用水路が建設されました。現在、この灌漑区域は内モンゴル自治区の重要な食糧生産基地に成長してきました。西部や中部などの条件が厳しい所では草地や植物を育て牧畜業に力を入れています。東部では北京などへの砂ほこりを食い止めようとして出来るだけ、灌木や喬木、草地を育むことを大きな課題にしています。

 

   庫布斉砂漠は「砂が響く」という別名があります。この辺りの砂が足に踏まれたり外力で叩かれたりしますと、「コンコン」と音が響いてきます。しかし雨が降る時や別の場所に運んでいくと音がなくなると言われます。

 

   庫布斉砂漠は砂ほこりを巻き起こして被害をもたらすとはいえ、地下に眠る石油や天然ガスなどが貴重な資源として利用されるだけではなく太陽光によるエネルギーも最近有効に開発されるようにもなりました。現在、この分野においての技術が大きな成功を収めて民間や農業生産などに広範に応用されています。