サイラム(賽里木)湖
サイラム湖は新疆ウイグル族自治区博楽市の西南部と温泉県との境界にあり、湖の総面積は454?、水深は90mで、「三台海子」とも呼ばれています。海抜2073mの高山地帯に位置する湖で、あたり一面が山に囲まれ、美しい水面には緑が移りこみ、まるでエメラルドのように輝いて見えます。サイラム湖はかつて「浄海」と呼ばれており、「山の脊梁にある湖」を意味していました。現在では、新疆ウイグル族自治区における自然美が豊富な観光地として中国国家級観光地に指定されています。地質研究によると、サイラム湖は約7000年前のヒマラヤ山脈を中心とした造山運動によって形成された地溝湖であるとされています。また、第4期氷河期に行われた地質構造運動による天山山脈の異変や上古氷河期の変動などの形跡が多く残されている場所でもあります。
サイラム湖では12月から翌年5月まで湖面に氷が張り、真っ白な雪に飾られた銀世界に変わり、見渡す限りに広がる樹氷や霧氷が人々を魅了します。また、夏になると湖畔には青々とした草が生い茂り、テント小屋と棚引く炊煙、牛や羊の群れが見え、遠くに広がる樅林は垣根のように整然と並び、まさに絵に描いたような風景が広がっています。さらに、清々しい空気と緑溢れる林の中には珍しい動物も多く生息し、サイラム湖を巡っている豊富な生態圏を垣間見ることができます。この吸い込まれるような湖には、昔から空想上の生物や湖底の風洞説などが伝えられて、神秘的要素も高く、恋人同士や新婚旅行のためのスポットとしての開発も検討されています。観光シーズンとしては、特に7・8月上旬に地元モンゴル族やカザフ族が湖畔で恒例となっているナダム大会を盛大に開催するので、民族の文化風習に触れることができ、多くの人が訪れています。
サイラム湖には、長年にわたりこの地の十景が存在しています。
第一「金鍛嵌辺」
初夏になると湖畔には様々な美しい花々が咲き誇り、サイラム湖を色鮮やかに彩ります。千紫万紅な野花はまるで話し合わせていたかのように一気に満開の瞬間を迎えます。この季節に合わせて多くの人が訪れます。
第二「緑海真珠」
7・8月になると湖畔に広がる牧場が最大の見ものとなり、緑の草原の絨毯の上に無数の真っ白な羊が白い真珠のように散らばっている壮観な景色を見ることができます。
第三「烏孫古塚」
サイラム湖は風景だけではなく、その歴史の中にも紀元前2世紀から5世紀まで生活していたといわれる烏孫部落の古い古墳群も残されています。合わせて10基の大規模古墳群からは大量の文物が出土し、その歴史の奥深さを物語っています。
第四「サイラム湖面の太陽」
日の出と日の入りの時間帯になると湖面に太陽が映り、その変化と朝晩で異なる輝きをゆっくりとした時間と共に感じることができます。
第五「松樹頭の雲海」
松樹頭一帯の高山にたちこもる雲や霧はサイラム湖まで棚引いてきて、幻想的な世界のように変化する様子は、まるで仙人の住む秘境に訪れたような気分させてくれます。
第六「科古琴山大樹」
サイラム湖の景観の一部になっている科古琴山には樹齢の高い大樹が数多くあり、まるで天空を突くようにまっすぐ聳えていることから、古くから人々に賛美され、親しまれています。
第七「富士東峙」
サイラム湖の東岸に聳える標高3596mの呼蘇目其格山は山の頂きに一年中雪が積もっており、その高さや様子が日本の富士山に見えることから、東の富士山としてこの名称で呼ばれています。
第八「激波擁堤」
季節によって強風が起こるとサイラム湖の広い湖面には波が立ち、周りの砂浜に押し寄せてくる光景は湖に命が宿ったように感じさせられます。
第九「浄海七彩」
サイラム湖の水は透明度が高く、周辺の景色を映し出し、水の色彩が虹色に変幻することからこのように呼ばれています。
第十「湖心情侶」
サイラム湖の湖面には小島が存在します。伝説によるとかつてこの島で恋人である男女が心中したと言われており、その悲しい物語に因んで命名されました。