果子溝
果子溝は新疆ウイグル族自治区の天山山脈の西部にある長さ28キロにわたる峡谷地帯であり、交通要衝の関所でもあります。それは北側には塞里木湖に通じ、南には伊犁河流域に通じるための唯一の通路だと位置づけられているからです。ウルムチ市から伊犁市までの312国道がここと重なり、伊犁地区に入る門戸ともみなされています。また中国から西アジアやヨーロッパに向かう天山山脈の北側のシルクロードにある峠に当たり、「鉄関」(強固な峠)という別名があります。果子溝は、記載によると1218年にチンギスハンがスムーズに中国西部への攻略を成功させるように長男に頼み、初めて果子溝を開削させ、馬車などが通る道が出来ました。
果子溝は自然が珍しく景色が麗しいことから、昔から「伊犁の第一の景色」と呼ばれていました。歴代の文人なども果子溝の美観に魅せられ、情熱を込めた賞賛が絶えることなく続いてきました。
果子溝は古くから山林檎などの野生の果物がたくさん採れたので、「果子溝」という名前が命名されました。果子溝の至る所には、山の斜面といい谷間といい、見渡す限りの山林檎や山杏などに覆われています。この外に百種以上の漢方薬も山野のあっちこっちに自生しております。これらの漢方薬が歴史的によく使われたものであり、中国全土にも出荷しているほどです。自生した果物だの、漢方薬だのあらゆる植物が密集する山野にいろいろな動物も生息していて野兎とか、狐とか、オオカミ、熊、及び貴重な鳥も数えることができるのです。こうして見れば果子溝はあたかも立派な果樹園であれば、動物園でもあるように感じられます。
果子溝では、四季折々の景色が堪能することができます。例えば遠くの山々の頂上には溜まる真っ白い雪もあれば、山の中腹には青々とした松などの樹木もあります。山の脊梁に登るとかなり凍えてしまう寒さもあれば渓谷に下ると暖かい日差しに咲いている可憐な花も見られます。これほどの垂直的な気候の配置が果子溝ならではの風情を醸し出しています。果子溝をよく学者の賞賛の対象としたのは春を告げる様々な花、及びこれらの花を飛び回るきれいな蜂や蝶々なのです。そして落葉したすべての樹木に濃厚な緑色の「上着」を着せる夏場の景色も無視できません。それに続くと、目いっぱいに映る鈴なりになった果物の黄金色が秋の味覚を知らせてくれます。最後に遠景にある山々といわず近景にある松や白樺といわず、雪とも霧ともつかぬ真っ白い世界に征服されたのも果子溝の冬にほかなりません。
果子溝は毎年5月から9月にかけて最も住みやすい季節でもあり、観光にふさわしいシーズンでもあります。春になり、山野一面に咲き誇る花を追いかける養蜂家が集まってきます。彼らがめったに賞味できない美味しい蜂蜜を観光客に提供することができます。これがまさに「果子溝」という名称を裏付けるような味覚で定着しました。