紅河哈尼棚田
雲南紅河哈尼(ハニ)棚田は雲南省の南部にある紅河州に属する元陽、紅河、金平、緑村の四つの県に分布しています。総面積が合わせて7万近くヘクタールにも及びます。今まで約1300年もの歴史が続く雲南紅河のハニ棚田は地元の雄大な山の勾配に這うように営造され、最大で3000階の階層が数えられると言われます。天下無敵の壮観さに果てしなく広がる雄大さも加わることから、「中国の最も美しい大地の彫刻」と呼ばれ、2013年6月22日、ユネスコに世界の文化遺産に登録されることになりました。
雲南紅河ハニ棚田は主に地元の原住民であるハニ族を始めとした各民族の手により開拓されたものです。この周辺はもともと、「一つの山は四季に分かれ、10里(5キロ)の先に行くと地理も変わる」と言われた厳しい自然環境に囲まれた場所でした。約1300年前に、原住民たちが生計を立てようとして不可能に見えた斜面だらけの大地に挑戦し、棚田の開拓に乗り出しました。このように地元の住民の絶え間ない努力を積み重ねてようやく世界を驚かすほどの美形ともいえる棚田が見事に完成されました。現在、この辺りに出来上がった棚田は規模が雄大であり、紅河の南岸いっぱいに広がっています。その範囲は元陽県、緑春県、金平県などの広い範囲にわたっています。昔から豊富な水に恵まれたこの地区は湿った空気が流れ、霧も激しく山間部に棚引くことからなおさら棚田を綺麗に引き立てることができるのです。20世紀80年代、一部のカメラマンが初めて紅河棚田に足を踏み入れ、あまり世間に知られていなかった棚田を様々な違った表情に撮影しました。これらの魅力満点の写真を世間に知らされた後、紅河棚田の雄大さと美しさが初めてその名が馳せました。
元陽県の棚田はすべて険しい山の斜面に分布しており、棚田の角度は15度~75度の間になっています。最も高い棚田はやく3000段の段差もあることから、まさに空に昇る梯子のような錯覚に陥ります。これは世界でもなかなか見られない絶景だと評判されます。元陽棚田は主に三つの区域からなっています。一番大きい区域は埧達区域であり、箐口、全福庄、麻栗寨、主魯などの地区にわたる棚田は延べ14000ムー(1ム-が666平方メートルになる)にも及びます。第二は虎の口と言われた区域であり、ここは孟力品県、垌裏、阿孟力控県、保山寨などに及ぶ棚田は合わせて6000ムー近くにも上ります。第三は多依樹区域であり、愛春、多依樹、大瓦遮などに及ぶ棚田は1万ム近くに上ります。これらの棚田はうっそうと生い茂る森林や棚引く雲に隠れたりしてこの世のものとは思えない景色になります。この三つの区域は即ち世界遺産に登録された場所です。
紅河ハニ棚田が本格的に世界に知られたのは1993年に開かれた第一回ハニ族の文化シンポジウムでした。このシンポジウムに出席した中国、オランダ、日本、アメリカ、イギリス、タイなど10か国の代表100人余りは初めてハニ族の全福庄の棚田を見学したところ、誰一人として棚田の魅力と現地の民族風情に感服しない人はいなかったのでした。そこで雲南紅河ハニ棚田を「真の大地の芸術、真の大地の彫刻だ」と称賛された同時に、「この彫刻を完成させたのは偉大なハニ族の民間彫刻家である」とも賛美の言葉を尽くしてくれました。