パミール高原
パミール高原は中国、アフガニスタン、タジクスタンの3カ国にまたがり、アジアの中心に位置して、ヒマラヤ山脈、カラコラム山脈、崑崙山脈、ヒンドークシュ山脈などの大山脈が属している広大な高原です。パミール高原は中国で最古の名前として「不周山」と記載されています。また、かつて山に野生の葱が数多く生えたことと、そして、萌葱色に見える崖があることから漢の時代までは「葱嶺」と呼ばれていました。この「パミール」という名はタジク族の言葉で「世界の屋根」という意味を持っており、まさにその高原の雄大さを表しています。また、古代シルクロードにある関所であり、最も神秘的な地域としてもよく知られていました。現在でも、かつてキャラバン隊が利用した施設が遺跡として残っています。大昔、この地は一面の海でしたが、約2億4千年前に古いインドプレートが北に移動し、その圧力に押され、現在のパミール高原一帯が隆起したと考えられています。地質学者の研究によると、今でもこの辺りは地殻運動が続いています。
パミール高原の海抜は4000mから7700mにまで達しており、その多くの峰の中にはが積雪が見られるものもあります。そして多くの山脈に挟まれて、峡谷や盆地が存在します。また、この中には1万?の氷山が形成されており、1000本以上の氷河が残っています。そして、その氷雪が水源となった河が周辺の広大な牧場を潤しています。タスクルガン河の流域では農作物の栽培や家畜の放牧に適する環境に恵まれ、昔から伝統的な農作物として裸麦、麦、ジャガイモ、豆、菜種などの作物や葡萄、杏子、梨などの果物が栽培され、麦がパミール高原に住む民の主食、とうもろこしが家畜にとって冬を凌ぐ餌となっています。さらに東パミール高原は野生動物の生態圏が整っており、生態圏の上部に位置する雪豹、ヒグマ、オオカミなどをはじめ、カワウソ、ヒマラヤ鷲などが生息しています。鳥も山鳩、雉、雪鳥などがおり、毎年北方から南アジア大陸まで訪れる渡り鳥にとってパミール高原の氷河から生まれた多数の湖は一休みをする重要な役割を果たしています。植物は海抜の高さによる垂直分布と降水量の相違による東西分布がありますが、特に垂直分布が非常に目立ち、寒さや強風に耐えられる高山植物が多く生息しています。
パミール高原を巡る観光では、古い歴史を持つタスクルガンという町や石頭城を挙げられます。古い歴史の営みと神秘的な地理に恵まれ、現代の人々が普段目にできない観光資源が育まれています。ただし、標高が高いことから酸素ボンベや防寒具の持参が勧められています。また季節的には5月から9月の間が良いとされています。