徳天瀑布
徳天瀑布は中国とベトナムとの国境?広西チワン族自治区大新県に位置し、国家級観光地に指定され、アジア第一位、世界第四位の国境を越えて二カ国を跨ぐ滝で、ベトナムでは「板約瀑布」と呼ばれています。また、中国で最も美しい六大滝の一つにも推奨されています。この地は国境地帯であるため、長い間未開地となっていましたが、中国とベトナム両国の友好が促進するにつれ、この地や徳天瀑布も観光地として有名になっていきました。徳天瀑布の水は、まず中国側の上流から一度ベトナムに流れ込んだ後、再び中国に入り大新県の断崖から流れ落ちて誕生します。滝の落差は約50mあり、三段に分かれているので、勢いよく流れ落ちる水と飛び散る白い飛沫の響く音が遠くからでも聞こえてきます。さらに滝の側では魂を揺さぶられるような迫力を感じることができます。下から上を見上げると滝は空高くから流れる白い雪崩のようにも見え、周囲の静かな原生林と呼応し合っています。そして、徳天瀑布で最も魅力的なのは時間帯によって幻のように変化する美しさと四季で移り変わる豊かな風情です。さらに、この地の観光スポットは40ヶ所を超え、山水の回廊と呼ばれる景観が250kmにわたり続いています。春は、穏やかな風が辺りを包み込み、雨季を迎え夏になると水量が増し、流れが激しくなり、雷が轟いている様な音を立てながら雄大な滝が山を押しのけ流れるが如く勢いのある景観を作り出しています。さらに、周囲の山間部に炎のように咲き誇る真っ赤なカポックの花が滝の真っ白な飛沫と美しいコントラストを生み出しています。秋は青々とした水と実り豊かな周囲の山々が色彩豊かな風景を描き出します。冬になると水量が減り、夏の激しさと対照的に滝の流れが真っ直で白い筋を作り出し、物静かに流れていきます。滝の水が注ぐ川岸には5000㎡の広さに緑水レジャー区域と水中セコイヤ(スギ科の一種)区域が展開され、ボートに乗ったり魚釣りをしたりと森林や水と戯れるためのうってつけのポイントとなっています。
滝の周囲を囲む山々の斜面には棚田が整然と並び、夏になると水田に水が張られ美しい新緑が目の前に現れ、秋になると収穫を迎え一面が黄金色に染まります。棚田のすぐ側には1896年に清時代の政府が建てた中国とベトナムの国境線とされる石碑があり、長い年月の風雨に晒された現在でも「中国広西界」という五文字をはっきり確認することができます。
また、幅200m、深さ30mの徳天の滝壺には多くの魚が生息し、非常に美味しい味わいを持つ魚も多く、滝の飛沫を背景に投網漁を行う人の姿が詩情溢れる風景として多くの人々を魅了しています。