蘇公塔礼拝堂

  蘇公塔礼拝堂は「額敏塔礼拝堂」とも呼ばれており、すぐ隣にある蘇公塔に因んで命名されたイスラム教の信奉を展開するモスクです。蘇公塔礼拝堂はトルファン市から西南に2キロほど離れた葡萄村の木納郷に位置しています。敷地面積が2500平方キロメートルに達している蘇公塔礼拝堂は、トルファン地方における最も大きい礼拝堂です。毎年イスラム教の祭日になると周囲から数多くのムスリムたちが礼拝堂に詰めかけてきます。イスラム教の三大祭日を巡る行事やイベントなどが盛大に行われるその盛況ぶりに驚きます。


   蘇公塔礼拝堂は歴史が長くて230年以上の歴史を持つとされます。清の初期、トルファン地区の郡王と封ぜられた額敏和卓が「皇帝のご恩に報いる」ために初めてここで蘇公塔を始めとする礼拝堂の工事に乗り出しました。残念ながら工事が竣工しない中、額敏和卓が亡くなり、その息子だった蘇莱曼が乾隆43年(1778年)に工事を完成させました。礼拝堂の前には高さ44Mにも上る蘇公塔が高く聳えておりカーキ色に染められています。蘇公塔の表面には合わせて14種類にも上る幾何図案が描かれています。これらの図案が巧みに工夫されており、いずれも目を見張るものばかりです。


   蘇公塔礼拝堂は新疆ウイグル族自治区で二番目のイスラム教の礼拝堂としてよく知られています。礼拝堂の建築様式やデザインなどがほかの礼拝堂ではなかなか見られない特徴があり、注目を集めています。その特徴が次に並べることができます。


1、礼拝堂の本殿はやや長方形の形をしており、すなわち本殿と周りの休憩室とが一つのホールの中に収容されています。ほかの部屋などを収容する場所が一切ないという特徴です。


2、ホールの中で真ん中だけで礼拝の場所として使われるとします。そしてホールの天井が丸くて高く出来ています。ホールの周囲にはそれぞれ小さな部屋が設けられています。


3、蘇公塔礼拝堂はすべて日干し煉瓦で築かれた物であり、とても経済的であるうえ、古ぼけた感じを与えてくれます。


4、礼拝堂のミナレットとしての蘇公塔は44mの高さにも関わらず皆煉瓦で造ったものです。これが新疆ウイグル自治区辺りにしては初めての例です。


5、蘇公塔は表面にはすべて珍しい花模様に鏤められ、技術的にも工芸的にも優れています。そして44Mの高さは中国一の高さと自慢できるのです。蘇公塔の下部にある通路にそれぞれウイグル族語と漢字で描かれた石碑が安置され、内容が「アラーを賞賛し、乾隆皇帝の恩に報いる」ものとなっています。


   蘇公塔礼拝堂は新疆ウイグル族自治区におけるイスラム教文化の息吹きに満ち溢れたモスクとして1985年に国の重要文化財に指定されることになりました。