克尓碱岩画と水系図

   克尓碱岩画と水系図は新疆ウイグル自治区のトルファン地区の托克遜県に位置しています。克尓碱岩画と水系図は托克遜県から28キロ離れており、定期バスが往復しているのでアクセスが便利です。


   岩画は克尓碱渓谷の両側に分布して、東側の岩画は散らばる岩肌に刻まれており、100枚ほど現存しています。主な内容が羊の群れの模様と放牧に当たる人の模様です。これらの岩画が主に3~4か所に集中しています。これに対して西側の岸に刻まれた岩画が主に岩肌に集中しており、大体次の2か所の部分から構成され、注目を集めています。


   第一は、その中で面積が延べ28、05平方メートルにも達する岩画が21枚で構成されています。岩画の内容として人間や鹿、犬、駱駝、羊などの模様が描かれたばかりではなく、狩猟や放牧の場面も鮮明に見出すことができます。最も注目すべきものは先に虎が鹿を追う場面があるのに対して、その後ろに狩猟に当たる人間が矢を射る場面もあるということです。


   第二、克尓碱水系図です。水系図が面積がおよそ42平方メートルにも及ぶ巨大な岩の上に刻まれています。水系図はいずれも陰刻(窪み彫り)であり、合わせて38本近くの川や、泉、用水路などの模様を削り刻みました。不思議なことにこれらの水系図が自然そのままの石の角度を利用してリアルにかつ立体的にその場その時の自然状態の水系の分布を記録したことになったと考えられます。その中で最も長い「石の河」が長さ3~5Mあり、深さが7~8CMほど削り取られたと見られます。この水系図の下流に大量の狩人が馬に乗り狩猟に当たる場面や各種の草食動物が草を食べたり、お互いに駆逐したりする場面など、生き生きとして刻まれました。専門家の考察によると、これらの岩画と水系図は紀元前6~7世紀に活躍したとされた車師人の遺跡だったと言います。


   克尓碱岩画と水系図は観光地としての条件が完備されていないから、正式に一般公開していません。現在、トルファン地区の文物部門が托克遜県と連携して文物に対する一部の修復や保護に取り組んでいます。克尓碱岩画と水系図は1999年7月に新疆ウイグル自治区人民政府に自治区級の文化財に指定されることになっています。