束河古鎮
束河古鎮は麗江古城とともに世界遺産に指定され、麗江市内から北に4㎞離れています。ここはナシ族が麗江に住み着いた時の最初の集落で、茶馬古道の貿易中継点として古くから栄えてきました。また中国では張芸謀監督、高倉健主演の「単騎、千里を走る」のロケ地と知られています。「一つの雪山、二つの龍潭、三つの水路、千戸の民家」といわれているように、束河古鎮の周辺には玉龍雪山があり、雪解け水が流れる整備された水路が続いています。また聖なる雪山を背景にナシ族民家の屋根が村を敷き詰め、付近の山から眺めると絶景が広がっています。玉龍雪山から流れる雪解け水は町の二か所に湧き出て、九鼎龍潭と疏水龍潭という淵を作り出しています。その清流が3本の水路から町に張り巡らされており、水路に沿って民家が立ち並び、ナシ族、チベット族、白族を含めた約1000戸3000人の人々がこの地で生活しています。束河古鎮は「ミニ麗江」と位置付けられ、麗江古城と同じように四方街があり、水路を流れる水を堰き止めて町中を掃除し、三眼井の井戸で洗濯をします。観光開発の進んだ麗江古城に比べても、かつての人々の生活がよりそのままに残されています。
束河古鎮の中心にある250㎡の四方街はかつて麗江の四大市場の一つとされていました。この市場は明の万歴年に麗江を治めていた木氏土司により開かれ、麗江地域の毛皮貿易が行われた中心地です。また束河古鎮は雲南省からチベットに続く茶馬古道の交通ルートとして荷馬キャラバン商隊の往来で賑わっていました。この町の石畳みの道は長年の往来による馬の蹄でつるつると光を放ち、多くの老舗では、かつての馬の鞍や皮水袋などの荷馬商隊の道具を販売しています。さらにキャラバンの頭領であった「馬鍋頭」住居や荷馬商隊の泊まった宿「馬店」などそのまま残され、歴史の断片を感じ取ることができます。
茶馬古道博物館
茶馬古道博物館はかつての土司木氏の住居「束河院」の一部を改装したもので、茶馬古道の歴史や貿易ルートに点在する要衝、重要な歴史事象などを文献や写真で紹介し、荷馬商隊の使用した道具も展示されています。また博物館には「皮匠庁」という場所があり、束河古鎮伝統の皮細工の工芸技術についても紹介されています。敷地内の大覚宮に残された壁画は明の時代に江南の画家?馬蕭仙によって描かれた作品で、雲南省の重要文化財に認定されています。
青龍橋
四方街の西側にある青龍橋は400年前の明王朝の時に作られた石橋で、当時の土司木氏が設計し、大きさは全長25m、幅4.5m、高さ4mで木氏最盛期の代表的な建築と言われ、麗江最大の石橋となっています。青龍橋を渡って石畳の道を通り、束河古鎮を出ると茶馬古道へと繋がり、そこから長い商業の旅路が続いていました。かつての荷馬キャラバンも束河古鎮で一休みして食料などの調達が終えると横断山脈を横切って青藏高原を登っていきました。この命を懸ける仕事を請け負ったかつての人々は青龍橋を渡り、馬の蹄の音を聴きながら、周囲の牧歌的な田園風景をながめて思い耽ったことでしょう。