雲南三江併流群

三江併流とは3つの川が合流していることを意味し、チベット高原に源を持つ金沙江(長江上流)、瀾滄江(メコン川上流)、怒江(サルウィン川上流)の三大河川が横断山脈の高黎貢山と怒山和雲岭の間を北から南へ平行に流れていることからこの名がつけられました。また、青海チベット高原に位置するこの区域を三江併流群と呼び、その美しい景観と多様な生態系から2003年にユネスコの世界遺産に登録されました。

三江併流群の総面積は約3500?で、雲南省の麗江市、怒江リス族自治州、迪慶チベット族自治州をまたいでいます。怒江と瀾滄江の最狭部は18.6km、瀾滄江と金沙江の最狭部は66.3㎞と170km流れていても並行でぶつかることがない奇観を作り出し、「高黎貢山区」「梅里雪山区」「哈巴雪山区」「千湖山区」「老君山区」「雲嶺区」「老窩山区」の8つの区域からなっています。

三江併流群の区域内は海抜760mの怒江峡谷と海抜6740mの梅里雪山最高峰のカワカブ峰に挟まれ高低差は6000mに達します。多様性に富んだ地形は雪山、氷河、高原、湿地、平地、森林、鍾乳洞など砂漠と海洋を除く非常に富んだ自然環境があり、この大自然は人々に様々な表情を見せてくれます。特に梅里雪山は万年雪に覆われ、その氷河は海抜2700mの明永村森林でも見ることができ、森林の中にある氷河としてはその高度の低さが世界的にも珍しいとされています。また老君山区の高山帯丹霞地形は世界でも有数の広大さを誇ります。

さらに「世界生物遺伝子の宝庫」といわれるこの地域では、地球上の温帯地域で最も多様な生態系を持っています。中国全土のわずか0.4%の土地面積で国内の25%の790種の動物が生息し、植物は20%の6000種に及びその内2700種が中国固有種であります。その中には金糸猿やカモシカなどのように希少種、絶滅危機にある種の生物が数多く生息しており、33種が国家レベルで保護されています。

三江併流群では多くの少数民族の居住地としても知られ、チベット族、ナシ族、ペー族、リス族、ヌー族など14の少数民族が生活しています。そして各民族の特色ある文化がこの地で融合し、風俗習慣や生活様式、宗教信仰を守りながら、お互いに影響し合い多彩な多民族文化を作り出しています。