包頭市の「包頭」はモンゴル語で「鹿のいる場所」の意味しますが、現在では鉄鋼産業が盛んです。内モンゴル自治区西部に位置する包頭市は、南は黄河に隣接し、東には河套平野、西には土黙川平野が広がっています。包頭市の海抜は1200~2000m、面積は2.7万㎢、市街地の面積は140㎢、人口は270万人で、モンゴル族、漢族、満族などの13の民族が住んでいます。華北地方における重要な工業都市であり、内モンゴル最大の工業都市でもあります。また、レア・アース産業の中心的存在として世界でも知られています。そして、包頭市は華北地方と北西地方を繋ぐ交通の要衝としても重要な役割を果たしています。
包頭市は1950年に包頭人民政府が成立し、1954年に自治区の直轄市に昇格しました。歴史的に包頭市は「北西の内陸港」、「毛皮の集散地」としてよく知られており、産業の発展で冶金、機械、電力、化学工業などをはじめとして鉄鋼、レア・アース、有色金属、機械製造、石炭、エレクトニクス、建築材料などの工業産業を中心に、毛皮、紡績、服装、製糖、醸造、ほうろうびき、製紙、印刷、美術工芸、民族用品などの産業を加えた新たな工業都市に成長してきました。現在では内モンゴル自治区最大の工業都市に成長し、「草原の鋼城」、「レアアースの里」とも呼ばれています。さらに国連から「人類居住賞」、「中華環境賞」など称号を獲得し、中国における「国家森林都市」、「国家園林都市」、「国家衛生都市」等に評され、国内で2級観光都市に指定されています。また、黄河文明の発祥地の一つであるとされ、市の東部の阿善溝門にある格膝蓋溝で出土した新石器時代のものとされる村落や遺跡は文明の歴史の起源といわれています。
包頭市の主な観光スポットとしては、まずエメラルドのような希拉穆仁草原が挙げられます。ここには歴史的な古さを誇るラマ教の普会寺が建立されていることで、より一層その名が知られるようになりました。また、ラマ教の布教や研究に取り組むための高等学校とされた五当召も有名です。五当召は政治及び宗教的な影響力が強く、建築としても規模が大きいことから「内モンゴルのポタラ宮殿」とも呼ばれたいます。ほかにも長い歴史を誇る趙長城、2000年前に築かれた秦の長城、明の時代の美岱召、清の時代の妙法寺などが歴史的な文化財としてよく知られます。最近では、自然を生かして開発された観光スポットも多く、「賽汗塔拉草原公園」、「南海湿原公園」、「昆都侖河風景区」、「九峰山自然保護区」、「梅力更風景区」などが挙げられます。