万里の長城
宇宙からでも見える世界最大の建造物として有名な万里の長城は、東は渤海湾に臨む山海関から、西は甘粛省の嘉峪関まで全長約6350km。中国の距離の単位「里」(1里=0.5km)にすると、1万里を超えるので、 万里の長城と呼ばれているのである。そもそも万里の長城は、紀元前数世紀ころの中国各地に分立していた国々が、北方の騎馬民族 や他国の侵入に対し造った防壁を、中国を統一した秦の始皇帝がつなぎ合わせたものである。14 世紀にモンゴルの元を北方へ追い払った明は、モンゴルの再侵入を恐れ、長城の拡張強化に務めた。
北京市内に残っている長城では、八達嶺、慕田峪、司馬台が最も有名である。
1987年12月世界文化遺産に登録された。
八達嶺長城
八達嶺長城は居庸関の北、北京から60余キロ離れたところに位置している。関所の城楼は明の弘治十八年(1505年)に建造され、城楼の東西両側に門が一つずつあり、額として東の門の上に「居庸外鎮」の四文字が彫ってあり西の門の上に「北門鎖鑰」の四文字が彫ってある。八達嶺長城はとても壮観で城壁の高さが平均7.8メートル、その土台が重さ500余キロの大きな花崗岩で築かれている。城壁の上では馬なら5頭、人なら十人が並んで進むことができる。城壁の外側に口があり、パトロールする時、そこから遠見する。射撃孔から矢を射ることができる。ほぼ800メートルおきに宿泊、兵器保存、見張りに使う敵楼、墻台が設けてある。このほか、長城博物館、円形スクリーン映画館もある。
夏には、ライトアップされ、夜景も楽しめるようになった。
慕田峪長城
北京市内から約70km離れた懐柔県慕田峪にあるこの長城は、緑に包まれた起伏の激しさが特徴となっている。
入口から約1000段の階段があるが、八達嶺に比べると規模は小さく、観光客もさほど多くないので、ゆっくり登ることができる。長さ約600mのロープウェイも利用できる。
司馬台長城
北京市の北東約120km、密雲県の古北口に位置する明代の姿のまま残されている長城。水の綺麗な鴛鴦湖によって東と西に分けられた長城は、橋でつながれている。長城の最高点にあるの望京楼は標高が986mもあり、遠くまで見渡すことができ、景色もすばらしい。
また、行く途中で目に入る農村の風景も、北京市内では見られない貴重な光景と言えるだろう。