京劇

京劇とは中国の伝統的な古典演劇である戯曲(歌劇の一種のこと)の1つである。中国の代表的な伝統演劇。中国の伝統演劇はほとんどが歌劇形式であり、時代や地域によって、歌曲、ことば、演技様式などに特徴的な発達がみられ、とくに曲調の違いが劇様式を決定するという点に特色がある。京劇は、360種以上も数えられるという伝統的な地方劇のうち、北京(ペキン)地方で大成したところからこの名があり、またその曲調から皮黄戯(ひこうぎ)ともよばれるが、いまではペキン?オペラの名でも世界に知られている。

北京京劇劇場1(湖広会館大戯楼)「戯曲総芸」
住所:北京市西城区虎坊路3号湖広会館内(虎坊橋十字路口西南角)
番組(毎日が違う):《白蛇传水斗断桥》、《霸王别姬》、《孙悟空大闹龙宫》、《拾玉镯》、《虹桥赠珠》、《秋江》、《罗汉斗悟空》、相声
北京湖広会館は北京市宣武区虎坊橋南西に位置している劇場である。1807年に建てられ当初の敷地面積は43000㎡もあり、現在は2800㎡と小さくなっているが郷賢嗣、文昌閣、風雨懐人館など有名な建物が多く存在する。湖広会館が建てられた時、会館には現在の湖南省と湖北省にあたる当時湖広省の省名を用いられた。また清代に中国各地から科挙試験を受けにきた人々がこのような会館に滞在し成績発表を待っていた。そのため北京には500に及ぶ会館が建てられ、科挙で好成績を収め政府の高官になった人々から会館に多くの寄付が送られ、さらに清代の高官や貴族が京劇を見る娯楽施設となる。1984年に北京市文化保護建築に指定され、1912年孫文が国民党を結成した歴史を有する場所である『旧湖広会館』を近年新たに劇場として復元した。ここでは梅蘭芳を始めとする数多くの京劇名優がこの舞台に立ったこともあり現在でも広く名が知られている京劇劇場で、2008年5月に坂東玉三郎が公演を行い日本でも話題になった。 
この劇場は一般のホール型劇場とは造りが異なり、5m四方の舞台を囲むように配置されたテーブル席から役者の表情や動作も観賞しやすくなっている。劇場の構造は非常に精巧で、音響設備がないにも関わらず演じられる京劇のセリフと音楽は劇場の隅々まで響きわたる。館内の戯曲博物館には京劇の歴史が展示物と共に展開され、展示物の中には京劇芸術家の貴重な遺品も存在する。
湖広会館は京劇文化の伝承にとっても重要な存在であり、観客は中国茶や菓子を頂きながら美しい歌声と華やかな衣装、軽快な舞踊が展開される京劇を心ゆくまで堪能することができる。さらに、その民族文化溢れる建築群は観光地としても大きな意義を持っている。

北京京劇劇場2(梨園劇場)
住所:北京市西城区永安路175号前門建国飯店1F
番組(毎日が違う):《盗仙草》 《水漫金山寺》 《三岔口》 《秋 江》 《十八罗汉斗悟空》 《扈家庄》 《天女散花》 《盗库银》
入場料:上層=200元/人、下層=280元/人、一区&三区=380元/人、二区=480元/人、VIP席:580元/人
日本語イヤホン貸出サービス:40元/人
交通:9、112、118、101、830、846、859、420、611、113、801、729、113、725、402、405路、特8バス「呼家楼」、地下鉄10号線C口
梨園劇場は前門の建国飯店1階にある劇場で、1990年に「前門建国飯店」と「北京京劇院」が共同で設立した劇場として20年以上の歴史を持つ。多くの有名京劇俳優が演じており、また新人の育成にも力を注ぎ京劇界の文化交流を行っている。劇場内は演出庁、展示庁、展示販売庁から構成されており、演出庁に舞台と観客席がある。舞台の高さは8m、広さは12m、深さは7mで、3つのエリア合計して800の座席は用意され、京劇の鑑賞や北京の軽食とお茶を楽しむこともできる。展示庁には京劇200年の歴史が展示され、展示販売庁には京劇の服や楽器などが売られている。演目は日ごとに変わるが、歌唱力、独特なセリフの言い回しと動作等全てが修練され、北京旅行局により7年連続で「北京旅游紫禁杯」の最高娯楽場としての評価を受けている。夕方になると多くの外国人観光客が劇場に集まり中国茶を味わいながら京劇を鑑賞し、中国の生活や文化を楽しむ。また開演前のロビーでは京劇俳優のメイクする姿を見学することができるのも楽しみの一つ。