伏虎寺

   伏虎寺は四川省の有名な観光地である峨眉山に登る山門に建立され、峨眉山の第一の伽藍と言われております。話によると、昔、近くの山に虎がいて、人を傷つけたことがあり、お寺の僧がここで虎を鎮める「尊勝幢」を立てたことから名付けられたそうです。また伏虎寺の背後にある山が身を伏せた虎に見えるから、名付けたこともあります。伏虎寺が唐代に建立されたもので、南宋の紹興年間に改築されました。清の順治年間、貫之禅師を始めとした僧人たちが伏虎寺の修繕や増築に取り掛かり、約20年間をかけて立派な「虎渓禅林」を復原させ、とうとう峨眉山の最も大きい伽藍の一つとなっています。


   伏虎寺の玄関から入ると、弥勒菩薩が祭られており、両側に四天王の彫像が飾っています。更に中に進むと、普賢菩薩の金メッキの坐像が見えます。一番奥にある大雄宝殿には三尊の大仏が祭られ、いずれも厳かな相好を見せてくれます。大雄宝殿の左側に華厳銅塔を納める東屋があり、この銅塔が明代に造ったものであり、高さ5、8mで、14層もあり、中国で一番高くて品質がよい銅塔と呼ばれています。塔の表面に4700体の仏像が刻まれただけでなく、内側にも《華厳経》の全文がきめ細かく刻まれています。大雄宝殿の裏に峨眉山における一番大きい羅漢堂があります。

   

   建物全体が昔のままの風致と威厳さが保持され、見た人々を驚嘆させるほどです。この伽藍は不思議な事に、すべての屋根には落ち葉が少しも溜まらないことであり、恐らくここは風が通る通路にある原因と分析されています。これを踏まえて清の康煕皇帝が「漓垢園」という御筆を残してくれました。


   ここは峨眉山の三大園林の一つと言われる「布金林」を鑑賞することもできます。同じ清の僧人たちが伽藍の周りに大量の杉、楠、柏などを植えて今日、空を覆い隠したような大木の数々を立派な園林に企画することになっています。