寛窄巷子

   上海の観光スポットといえばレンガ造りの古風な家並みが並ぶおしゃれな街「新天地」が有名で多くの人がそのレジャー感あふれるその地に赴きます。実は成都にも成都にも同じような雰囲気が漂う街が存在します。それが寛窄巷子(カンサクコウシ)です。寛窄巷子は成都の三大歴史文化保護地区の一つとして寛巷子、窄巷子、井巷子という平行に並んでいる三本の旧街道とこの街道の間に区切られた四合院群から構成されています。清の時代、1718年(康熙57年)にこの地方に派遣された八旗兵たちの駐留地として開かれたの城郭「少城」がこの街の始まりで、最盛期には2万の兵とその家族3~4万人が住んでいたといわれています。、やがてその少城跡は改築工事を経て、2008年6月に清末から民国初期にかけての風貌を彷彿させる45軒の四合院、西洋式の建物、新たな庭園式ホテル等がある寛窄巷子として生まれ変わりました。

   もとの旧市街地をベースにし、観光やレジャーを目的とした古代蜀文化をアピールする複合型カルチャー商店街を目指し、「古き良き成都、現代都市の客室」という意味の「天府少城」がテーマとなっています。現在、成都の悠久たる歴史を語る街として国内外の注目を集め、その文化や芸術の要素を残しつつおしゃれなバーやカフェ、ショップ等が数多く立ち並び、成都ならではののんびりとした時間を過ごすことができます。このように2008年のオープンから寛窄巷子は成都の新たな観光スポットとして欠かせない存在となっています。

   まず、寛巷子は成都都市文化の代表的存在に位置づけられており、長きにわたりこの地に住んできた原住民、四合院風の旅館、古めかしい店構え、昔の雰囲気が漂う工芸品店、歴史の証とされる大木、軒下に設けられた旧式の茶屋などが全てがつながり音を奏でる楽譜のように成都ならではの都市文化の要素をかたち作っています。ここでは成都人の一日の生活体験をテーマにした「成都生活館」があり、民国時代の成都人ライフをその身で体験することができます。またレストラン、高級ホテル、レジャー感あふれる茶屋、SPA休養所などを中心に展開しています。


   次に、窄巷子には「成都っ子」ののんびりした生活リズムが表現されています。よく「成都は天府の国」だと言われており、これは成都が大自然の倉庫?蔵を意味し、神様から与えられたものが納められ豊かだ、というふうに解釈することができ、同時に窄巷子は「成都の府」であり、成都の「倉庫、蔵」となり、成都の文化を貯蔵するところだと解釈することができます。このように整備された後の窄巷子は成都住民の文化を展示する場所でもあり、この文化が長い歴史の中から育まれた過程からエリート文化とも言われ、雅さ溢れる伝統文化が展開されています。これに合わせカジュアルな雰囲気が満ち溢れるコーヒーショップ、屋台、西洋軽食店などが数多く立ち並んでいます。


   最後に、井巷子は成都人の新たなライフスタイルを中心として構成されています。そこで井巷子は寛窄巷子の中で他の地区と位置づけと大きく異なり、成都の中で最も近代的でモダンな街作りを目的としています。ここでは古い建物に囲まれた中で近代的なグルメを楽しむことができ、近代的な技術を駆使して演出された色鮮やかな夜景を楽しむこともできます。また、西洋式建物に隣接する小洋楼広場が井巷子の中心的シンボルで、ここはかつてキリスト教の集会所であり、現在では若者たちがブライダルイベントを行うロマンチックな場所となっています。

   この街に広がるレンガ造りの長い壁は成都のその奥深い歴史を物語っており、レリーフとモノクロ写真で表現された壁は成都の人々の生活風景が再現され、路地には清の時代の民族衣装を着た銅像があちこちに立っています。このように成都の歴史と文化を包括した寛窄巷子を観光すれば、あなたも「成都通」間違いなしです。