上里古鎮

   上里古鎮は四川省雅安市から北に約27kmの位置にあります。上里古鎮の町の東は邛崍山、西は蘆山にそれぞれつながり、かつて古代の南方シルクロードにおいて主要地点として知られています。早くは唐の時代からすでに町として栄え始め、現在でも明清時代の歩道や建物が完璧に残っており、四川省の十大古鎮の一つに指定されています。

   上里古鎮の見所として、第一に封建時代の女性の貞操を守り抜くため、女性の再婚を束縛する遺物として知られる牌坊が町の一大文化として形作られています。町に入るとまず目に入ってくるのが清の時代道光19年に造られた「双孝節」という牌坊です。この牌坊は4本の柱に支えられた石刻で、高さ11.25m、幅7.8mの大きさを誇ります。広さ1.1mの巨大な屋根の石のかたまりには20組の物語が細かく刻まれており、約100人の人物が登場しています。その精巧さ及び内容の奥深さは上里古鎮の牌坊を代表しています。

   第二にデザインの異なるたくさんの橋です。上里古鎮には古代から近代にかけて十本の橋が造られ、現在でも町の交通に役立っています。その代表的なものが清の時代乾隆年に造られた「二仙橋」と「立交橋」です。これらの橋はいずれも石作りアーチ型の造型で、中国江南水郷に合う橋の特徴を持ち、シンプル且つ小ぢんまりとした造りをしています。その形状の美しさは川にも映り込み、より深い趣を作り出しています。

   第三に上里古鎮は巧みな建築技術を駆使して造られた建築群が多く点在しています。その中でも代表的なものが「韓家大院」です。古鎮内には合わせて4軒の韓家大院があり、戸、窓、梁、軒などの細部は非常に手が込んだ造りをしており、透かし彫りや浮彫や嵌め込みなどの技法を活用し造形美にこだわっています。建築群は古鎮の歴史的な遺跡として、また貴重な観光資源としても高く評価されています。

   第四に趣のある間欠泉文化です。白馬泉、噴珠泉は上里古鎮内のユニークな景勝地であるだけでなく、四川省においても名高い観光スポットとして知られています。また、これらの泉はすべて間欠泉であり、水温は15度程度、一日に何度か湧き上がり石造の龍彫刻の口から水が噴き出し、中央テレビ局の報道によると山東省済南の有名な「豹突泉」に勝るとも劣らない迫力であるそうです。

   第五に塔文化です。古鎮は長い歴史の営みの中で多目的塔が数多く造られており、古鎮の街並をさらに魅力的に演出しています。古鎮を散策すると街並からひときわ目立つ塔の雄姿を見ることができ、文峰塔、建橋塔、舎利塔、薬王塔などが挙げられます。

   上里古鎮は昔から「五家口」と呼ばれています。上里古鎮は水運に恵まれているほかに、肥沃な土地が広がることから、農業が発達し、周りから多くの人が集まり、清の時代になると次第に賑やかな町として栄えてきました。特に米やお茶の産地として人気が高まり、これらのメリットを生かして豊かになった現地の人々は子供への教育を重んじるようになりました。その後、このような教育を受けた子供がさらに出世して、社会的地位の高い役人になり、大邸宅を築く風潮まで広がるようになりました。記載によると上里古鎮では「金持ちの韓家」、「役人家族の陽家」、「食糧の陳家」、「武術の張家」、「淑女の許家」という華麗な五大名家があったとされており、「五家口」という名前はここから由来しています。現在、五大名家はいずれも存在しませんが、老朽化した建物からかつて大規模な雄大さや豪華な家庭の名残を彷彿させることができます。