平楽古鎮
平楽古鎮は四川省成都の西南部にある邛崍市に位置し、成都市から93㎞の距離にあります。この古鎮の敷地面積は70平方キロメートルで、中には明清時代に建築されていた建物があり、昔から「一平、二古、三夾関」と言われてきました。平楽古鎮の歴史は上古まで遡り、2000年以上の歴史を歩み続けて「平落」と呼ばれたことがありました。また、平楽古鎮は自然の緑に覆われた中に独特の歴史的、文化的な雰囲気に包まれています。古鎮の西方を流れる美しい白沫江が長年にわたり古鎮独特の田園風景を形作り、この地の牧歌的な郷土文化を育んできました。
平楽古鎮は紀元前150年ほど前には町としての歴史を発足させており、以来地元の人々の手によって築かれた古い石畳みや古寺、古橋、大木、堰、牌坊、路地などにはいずれも歴史のロマンを含んでおり、村から聞こえてくる古い民謡が古鎮の純風美俗を美しく伝えています。
地理と気候に恵まれた平楽古鎮は山いっぱいに生えている竹を活かし、宋の時代から製紙の里として発展してきました。また、宮廷へ納める貢物であるお茶の産地としても有名で康熙皇帝からは「天下第一の圃」という証を授けられています。平楽古鎮を構成する古民居は大小合わせて33本の街道によって区切られており、一階が商品の売買を行う店として機能し、二階以上が住居となっています。その建物の殆どが木造で、釘を使わずにホゾとホゾ穴が組み合わさって造られ、屋根には黒一色の瓦が敷かれています。これら古民居は魚の骨のような形をしていて、それぞれの接続部が荷物の運搬に便利な港となっています。古民居の屋根は全体が整然として高低起伏のある美観を生み出しています。現在も明清時代の風貌を彷彿させる22本の街道が残されており、そのスケールの大きさと統一された均一美で四川省西部において名高い観光スポットであり、四川省西部最大の古民居群と称されています。
平楽古鎮は宗教文化の息吹が濃厚なところでもあり、昔から数多くのお寺や祠が建立されましたが文化大革命の時代にそのほとんどが壊されてしまいました。金華山の天宮寺の岩肌に刻まッれた現存する大仏は唐の時代のものであり、その厳かな雰囲気は生き生きとした生命感さえ感じさせます。また岩肌に丁寧に造られた「空を駆け巡る馬」の遺跡は中国全土にも二枚しかないことから重要文化財に指定されています。ほかにも1860年に建てられた楽善橋は四川省で最大規模の古代における石造アーチ橋があります。平楽古鎮にはシルクロードの通り道であったとされ、その証となる巨大な栗石で築いた道が広がっています。さらに、この古鎮は74ヶ所の製紙遺跡が発見されており、その存在は高く評価されています。最後に、平楽古鎮の歴史を静かに物語っているのが唐宋時代に植えられたガジュマルの大木群であり、まるで緑の傘のように炎天から古鎮を守っています。
このような古い歴史に育まれた平楽古鎮には独特の民俗行事も多く存在し、現在も人々に親しまれています。紙の原料とされたカラムシが砕ける際には労働の歌を人々の間で歌う習慣が定着しており、平楽古鎮のユニークな文化現象として高く評価されています。ほかにも平楽古鎮の竹細工やお茶、木彫り、木の根彫り工芸など長い歴史の中で伝承され、多くの人々を魅了しています。
平楽古鎮は小さいながら中国の輝かしい文化や歴史をうまく演出しており、古鎮全体が伝統文化や歴史の集大成になっています。そして、古鎮独特の歴史と文化、素朴な風習が人々の心を癒してくれます。