遇龍河

遇龍河は臨桂県白粘嶺から流れ、その全長は43.5km、かつて安楽水という名で呼ばれていました。その後、中流に架かる遇龍橋に因んで遇龍河と改名しました。遇龍河は落差のある川なので、船の運航は困難ですが、途中に幾つかのせき止めダムを造り、周りの水田に灌漑用の水を給水するばかりでなく、近年では観光者向けに筏を使った遇龍河漂流も大変盛んになりました。

周囲が美しい景色に恵まれた遇龍河は両側に青々とした山が立ち並び、穏やかな田園風景や竹林、古い村落などと融合し、中国でもなかなか見つからないユニークな景観を生み出し、国内外問わず多くの観光客に親しまれています。遇龍河に架かる遇龍橋は長い歴史を持ち、遠い昔を思わせる周りの美しい山水とも見事に呼応して、桂林市や陽朔周辺の若者たちから結婚記念の撮影ポイントとしても好まれています。さらに遇龍河から下流の工農橋までの5kmにわたる川沿いの畦道は、河岸の景色を思う存分堪能しながらウォーキングを楽しむことができます。

このように遇龍河の美しい景色に感銘させられた観光開発業者や現地で農家を営む人々もこの掛け替えのない景観の保護と観光資源の提供に力を入れ、遇龍河の美しさを魅力としたホテルや民宿も多く見られるようになりました。また、河の堰止めから生まれる落差をうまく利用して筏漂流を展開する農家も地域政府による管理のもとで、農家を営む人々のサイドビジネスとしても活かされています。特に最近は遇龍河から工農橋までの適度な落差を生かした筏漂流が若者や外国人観光客の人気を集め、土日になると多くの人々で賑わっています。周囲に広がる山の倒影が鮮明に映る遇龍河に二人乗りの筏を浮かべ、船頭さんが竿を使ってのんびりと河を下る光景は、その景観を眺める人々にとって心を和ませるものとなっています。とりわけ、河の落差を一瞬で流れ下りる興奮は言葉では言い表せません。ただし、この筏漂流は洪水など極端に水位が上昇する際には不向きだと地域業者からは警戒されており、運行を見合わせるときもあります。