九屋古村落
九屋古村落は桂林市内から北へ32km、霊川県九屋鎮江頭洲村にあります。明、清時代に造られ、180棟あまりの規模の大きい古建築群です。中国で原型がよく保存されている古鎮の一つに数えられています。2006年5月には「江頭村古建築群」として中国重要文化遺産に指定されました。
村内には古民家、井戸、祠堂、、横町、橋梁、古墳、廟宇、仏堂、横額などがあります。特に古民家の数が多いです。現在、村には約700人の人が住んでいて、そのうち90%の人が「周」の苗字を名乗っています。住んでいる人のほとんどが、宋の時代の有名な文学者「周敦頤」の後裔だからです。彼の代表作の一つ『愛蓮説』は中国の人々によく知られています。「愛蓮文化」は主に、「誠意を持って他人に接する、善行を積む、無私に貢献する」という考え方を標榜しています。村では「愛蓮文化」の薫陶を受けて勉学が盛んになりました。明清時代には厳しい登用試験に合格し、官職につく人が160人以上にも上りました。
愛蓮家祠
村の入り口、すぐ左側には青い煉瓦と黒瓦、木造の壁と柱の建物があります。江頭村で一番規模の大きい1882年に建てられた「愛蓮家祠」です。元は雨亭、大門楼、興宗門、文淵楼、休息亭、祭祀殿が備わった完全な建物でした。残念ながら現在では、大門楼、興宗門、文淵楼しか残されていません。
愛蓮家祠には「周」の苗字の誥命碑、誥封碑、勅命碑、勅封碑と墓誌銘など陳列されています。江頭洲村の官職の横額、科挙の横額と破損した対聯なども数多く陳列されています。その他には、周姓弟子の文房四宝、本棚、本箱、枕箱、洋琴、団練の銃と角なども展示されています。文淵楼一階、正面広間の壁には「愛蓮家訓」が刻まれています。二階正面広間の壁には「愛蓮説」の全文が書かれています。
古建築群
愛蓮家祠を出ると、路地を挟んで古建築が並んでいます。それぞれの建物の壁には、その路地の名前が「秀才巷」「進士街」「挙人路」などと書いてあります。古民家の格扇、雀替、仏壇、柱の足などには、それぞれ蓮の花模様が彫刻されています。壁には人々が好む梅、蘭、竹、菊のほか、八仙、八卦図も見られます。広間にある仏壇の梁には、愛蓮思想を表す「歳月の陰陽太極図」が板に彫られ置かれています。各家の扉には、いろいろな種類の蓮花座八卦図があります。
家の壁に挟まれた路地には、きれいに栗石が敷き詰められています。小さな石で花や円型などの図形が描かれていて、なかなか風情があります。春になると栗石の隙間から、小さな可愛い草花が萌え出してきます。登用試験に挑戦するため、都へと向かった若者達の足音が聞こえてきそうです。