赤峰市は内モンゴル自治区東南部に位置し、東方地方と華北地方を結んでいます。総面積は9万㎢に達し、三つの区と七つの旗、二つの県から構成されており、総人口は461万人と内モンゴル自治区で最大の人口を誇る都市となっています。赤峰市には1万年以上の歴史があると言われ、中華文明の発祥地の一つである紅山文化が栄えていました。現地の発掘による石器、骨器、陶器、青銅器などの生活における活用を分析すると、この地では8000年以上前から原住民が農業、狩猟、牧畜業による定住型の生活をしたことが分かっています。20世紀70年代に翁牛特旗で出土した5000年前のものとされる大型の「玉龍(龍をかたどった玉器)」は「天下第一の竜」と称され人気を博しています。
赤峰市はかつて、商族、東胡族、匈奴族、烏恒族、鮮卑族、庫莫奚族、契丹族、モンゴル族などの北方系民族の揺りかご的な土地でした。中国時代区分の夏、商、周、春秋にかけて、ここは中国古代の伝説における「九州」の中の「翼州」に当たりました。戦国初期には東胡族、秦漢時代には烏恒や鮮卑族などがこの地を治め、隋唐時代には饒楽都督府と松漠都督府がそれぞれ設置されました。北宋における遼の国では契丹族による王朝が誕生して、上京臨湟府、中京大定府を設立しました。清の時代になると、この地の殆どが昭烏達盟の領地になり、1979年に昭烏達盟が内モンゴル自治区の行政地区に改めてられました。そして、1983年10月に昭烏達盟を撤去して赤峰市を新たに設けました。
赤峰市は大陸性気候に属し、春は乾燥して強い風が吹き、夏は短く雨が集中して降り気温も高くなります。秋は訪れが早く気温が一気に下がり、そのあと寒い冬が長く続きます。年間平均気温は0~7℃で、1月には-10℃まで下がるのに対し7月には25℃以上に上昇することもあります。降水量は地域により異なりますが300~500㎜ほどです。観光シーズンとしては気温が上昇する6~9月が最適とされ、日照時間が長いことと朝晩の冷え込みから日焼け止めクリームや防寒のための上着の用意が勧められています。
赤峰市は内モンゴル自治区における黄金と有色金属の主要産地として知られ、黄金の貯蓄量は自治区の80﹪を占めています。ほかにも建材、紡績、畜産加工などの産業が盛んです。
赤峰市の主な観光スポットとしては、遼国の上京古城遺跡・中京古城遺跡、白音敖包自然保護区、賽罕烏拉自然保護区、山峰達埧(「達埧」は山の峠の意)、第四期氷河遺跡、「八百里」とも言われる砂地の風光などがあります。ほかにも「巴林奇石」や多種多様な鍾乳洞群、広大無辺な草原と生い茂る原生林、氷祭りを中心とした氷雪資源など大自然が生み出したものが多くあります。